いつの時代の子どもたちも、夏休みを迎える前は興奮していますよね。1ヶ月以上も学校へ行かないなんて、子どもにとっては毎日がパラダイスのよう。あれもしたい、これもしたいと期待に胸は膨らむばかりです。
ところが、子ども時代の夏休みを何度も経験されたことのある大人ならわかりますよね。始めの意気込みはいつしか失速し、中だるみ時期を迎え、新学期直前に慌て出す…。
時間の管理というのは大人にとっても難しいものです。経験の少ない子どもにとっては至難の業と言えるでしょう。小学生が夏休みを有意義に過ごすためには、大人のサポートが欠かせません。
子どもが夏休みという絶好の機会に大きく成長するためにも、まずはお子さんと一緒に計画を立てることから始めましょう。ここでは私が実践して手応えを感じている「子どもと一緒に夏休みの計画を立てる
手順と、「継続させるコツ
をご紹介します。
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【ステップ1】親子で時間の大切さについて話し合おう!
長いようでも限りのある夏休み。その限られた時間をどのように使うかによって夏休みを有意義に過ごせるかどうかが決まります。
ところが、この「時間」という概念。実は意識の向け方によってその有り方が全く異なるのです。
例えば、待ち遠しい遠足が3日後に控えているとします。その3日間は通常の3日間よりも長く感じてしまうでしょう。あるいは友達と夢中になって遊んでいるとあっという間に帰る時間になってしまった、など、誰にでもある経験ではないでしょうか。
もともと人の社会には動物たちがそうであるように「時間」の概念はありませんでした。目が覚める、お腹がすくと食べる、疲れると休む、というように。
ところが、人は「時間」というものを生み出し、規律を作りました。うるう年やうるう秒からもわかるように、「時間」はなかば強引に人が作り上げた概念になります。
なぜ、人は「時間」を作ったのでしょうか?「時間」の概念を持つことが生活にどのような影響をもたらすのでしょうか。いろいろな理由が考えられるでしょうが、一つ言えるのは、命に限りがあるからこそこの時間の概念が機能するということです。
ぜひ、お子さんと一緒に時間の概念について考えてみてください。低学年のお子さんなら、「この世の中から時計がなくなったらどうなる?」という質問を投げかけてみてもいいでしょう。
そして自由に意見を交換し合ってください。正解はありません。限られた時間を意識して有意義に過ごすための頭の準備体操です。
【ステップ2】3段階目標を立てよう!
私は、長期休暇の前には子どもたちに自分で休暇中の目標を紙に書かせます。すると、長期休暇を前に興奮しているせいか、「5時に起きてジョギング」、「毎日3時間勉強」、「毎日リフティング」などとできもしないような目標をたくさん書き出します。
結果は最初から見えていたようなところもありますが、本人の決めたことでもあり、子どもを信じてやらせてみました。しかし、これらの目標はやり遂げられるどころか、3日も続くようなことはありませんでした。
とはいえ、最初の意気込み、やる気は決して偽りではないのです。私は、その純真なエネルギーを無駄にしてはもったいないと思いました。子どもたちのこの前向きな姿勢を大切にし、やり遂げることで自信をつけさせてあげるためには、大人の介入が必要です。
以来、私は子どもたちに目標を3つに絞らせるようにしました。ただ3つ考えるのではなく、より明確になるように3つの段階に分けて考えさせています。
①毎日続けたいこと
②週に1回はやりたいこと
③夏休みの間に1回はやりたいこと
時間の概念についてしっかり話し合った後でこの目標を立てることにより、子どもたちもより現実的に考えることができると思いますよ。
【ステップ3】計画表を作る
目標が立ったら、あとはエクセルなどで予定表を作成し、夏休みの家族の予定や習い事などを書き込み、夏休みの宿題や自由研究などの日程を埋めていきます。
高学年の場合はエクセルを使った表の作成を覚えることもよい経験となりますし、低学年はマス目や行の入ったノートなどに手書きで作成するのもよいと思います。
予定を作成する時は、必ず予備日として週に一度くらい調整可能な日を設けておくとよいでしょう。無理なく続けられる計画を立てることがモチベーションをキープするコツです。
継続させるコツ①
一緒に時間の大切さについて考え、目標を立て、予定表を作りました。これで終わりではありません。本当の意味でのサポートはここからとなります。
計画を立てる作業は子どもにとっても楽しいのですが、それを実行する、また継続するには強固なモチベーションと忍耐力が必要です。しかし、小学生にそのような力を期待するのは少し無理があります。
そこで、作成した予定表に毎日のチェック欄を二つ設け、一つは本人、もう一つは家族がサインをします。毎日確認すること、さらには進度を確認することで継続を助けることができます。
もし、計画に無理があるように思えたら、途中でも一度立ち止まり計画を修正するよう提案してあげましょう。
継続させるコツ②
子どものモチベーションを維持するためには「ご褒美」をうまく使うことも良いと思います。
達成した時に得られる充足感は、小さな子どもにはうまく理解できないかもしれません。その真の価値がわかるのはずっと先になることもあるでしょう。
そこで、小さな成功で得た喜びをその時その時でしっかり味わい、次につながるよう「ご褒美」という代用品で補っておくことも一つの手だと私は思っています。
そのご褒美の選択は、親子でしっかり話し合い、子どもの学びの先にあるもの、両者納得のいくもの、ということにしています。今までに、望遠鏡、サッカーボール、ダンスシューズ、映画などのようなものが「ご褒美」の対象となりました。
少し変わった「ご褒美」もあります。息子が小学5年生の時のことです。初詣に行ったお寺で突然「必勝ダルマを買ってほしい
と息子にせがまれました。彼は目標達成のために先に「仮ご褒美」としてダルマが欲しいと言うのです。
そして1年間で到達したい目標をダルマの背中に書き、何度もくじけそうになりながらも自分の立てた目標に向かって本人なりの努力をしていました。
ところが残念ながら期限内に目標は達成できず。あれから3年過ぎましたが、今では片目の必勝ダルマが彼の宝物になっています。机の脇に置かれた片目のダルマが、いつもあの時の悔しさを蘇らせてくれるそうです。
親子で有意義な夏休みを!
なんと言っても、親子のコミュニケーションの時間がぐんと増える夏休みです。まずは話すこと。話せば話すだけ、人はより深くつながり、より元気よく前に進んでいけるのではないかと思います。
親子で、おじいちゃん、おばあちゃんと、親戚やいとこたちと、たくさん話し、日常生活にない刺激を受けることで、子どもはより「自分」を見つめ、自立心が芽生えたり、向上心が生まれたりするのではないでしょうか。
有意義な夏休みを!