子育て、大変ですよね。
私も子育ては大変だと思います。3人の子どもがいますが、赤ちゃんの頃はそれはもう大変で、上の子が高校受験を迎える年になってもまだ心労が絶えません。
「子育ては本当に大変なのか?」という論争を見たことがあります。そもそも、物事の大変さははかりで量れるようなものではないし、何と比べるべきかも不明です。
それを当然のことと分かったうえでこのような論争が行われる背景には、世の中の子育てに対する理解が薄いからではないかと思いました。子育てへの不十分な理解は、子育てにやさしくない社会を作ってしまいます。そんな不自由な社会での子育ては、子育てをさらに大変にさせてしまいます。
子育てはなぜ大変なのか。理由はいくらでもあげられますが、全てのお母さんに共通する理由は以下の3つではないかと思います。
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理由①「命を扱う大切な任務
先日、小学校4年生の娘のクラスで、生き物係りを中心に「デメキンを飼うか飼わないか」の会議が行われたそうです。意外にも、反対派の声が多く上がり、議論は持ち越しとなりました。一人ひとりがもう一度しっかり考えて、賛成・反対の理由をノートに書いていくことになったそうです。
娘も反対派の一人でした。反対の大きな理由は「育てるのが難しそうだから」。万が一、死なせてしまった時のことを思うと、飼うことに躊躇するのだそうです。
全てのお母さんも、このように育てることへの不安を抱えながら子育てをしています。医者でなければ医療専門家でもない一人の女性が、不器用ながらも全身全霊を捧げて小さな大切な命を守っているのです。
理由②思うようにいかないことだらけ
「私にできないことはないと思っていたのに、赤ちゃんの子育てだけは思うようにできなかったわ」
クラス委員を務めるような優等生タイプだった姑が、私が第一子を妊娠した時に何度も話してくれた姑の子育て体験談です。当時を振り返ってはその辛さを聞かせてくれ、どうか無理はしないように、と私に助言をくれました。
赤ちゃんが100人いれば、100通りの子育て法があるように、子育てには先生も参考書もありません。毎日が予備学習もないままぶっつけ本番のテストを受けているようなものです。
合っているのか間違っているのかもわからないこともあれば、いつまでも答えの出ないものもあります。唯一のヒントは無垢な赤ちゃんの笑顔だけ。喋れない、歩けない、小さな小さな命と向き合っていくのですから、うまくいかないことの方が多いのです。
姑は、最終的に寝込んでしまい、赤ちゃんとは引き離され、親戚の家で療養したそうです。育児ノイローゼに苦しむ女性が昔も今もたくさんいるという事実が、子育ての大変さを物語っています。
理由③自分の時間がない
「自分の時間がない」こと自体は、もしかしたらそれほど大変なことではないかもしれません。仕事が忙しく、休みなしで働いた経験の一つや二つは、誰にでもあると思います。
子育ての大変さは、「自分の時間がない」のは計画を立てられない背景にもあります。1日の予定がわかり、それに沿って仕事をこなすことができれば、後には疲労感だけでなく、充実感や達成感も残るでしょう。
ところが、子育てのように、全く予期できない突発的なタスクやその可能性に1日24時間を支配されるわけですから、その体力的疲労と精神的な負担は計り知れないものです。また終わりも見えないため、達成感を感じることもありません。
子育ては大変なもの
子育てが大変な本当の理由は、やらなければいけないことが多いからでもなく、無期限、無償、週休0日制、24時間体制の仕事だからでもありません。
きっと、守っている命が大切すぎることによる重圧と、読めない予定に息抜きのタイミングを上手に計れないフラストレーションなどにより、心が疲れ切ってしまうことにあると思うのです。
この子育てが大変な本当の理由を、お母さんご自身がしっかり受け止める暇もないほど大変な日々を送っているということと、外で働ているご主人に、うまく理解してもらえないことがイライラや不満の原因になってしまうのではないでしょうか。
大変という言葉は、「大きく変わる」と書くように、大きく変わるほど「物事が重大である」という意味と「苦労が並々ではない」という二つの意味があります。
子育ては、重大なことであり、苦労の多いものです。決して楽な道ではありません。お母さんも、お父さんも、小さな命をその胸に抱えた日から、充分にそれを理解して赤ちゃんとともに歩んで行きましょう。
大変な子育てをラクにするコツ
子育てから得るものは、過去の大変さを一瞬にして忘れさせてくれるほど大きなものです。ただし、それは給料やボーナスとは違って、いつ手に入るか予想はできません。
それを手に入れた時の喜びや感動は言葉では表せません。それによって母としての喜びや生きている喜びを感じるほどです。子育てをしている限り、必ずその瞬間は幾度となくやってきます。
子育てをラクにするコツがあるとするなら、「今がんばっていることがいつか必ず報われることを信じる」ことではないでしょうか。
1日のスケジュールを立てることはできませんが、子どもの成長に合わせた将来設計を立てることは可能です。1歳になって歩き出す時、2歳になっておしゃべりを上手にするようになる時、あるいは幼稚園に入園する時や小学校、そして中学校に入学する時。子どもの成長ほど親の心を明るくしてくれるものはありません。
子どもの将来だけでなく、ご自身の予定も立てましょう。お子さんが幼稚園に通い始めたら趣味を始めよう、小学校に入ったら仕事をしよう、など、楽しみは広がります。
先をみながら「今」を過ごす。今のがんばりが未来につながる。これを見失わないでいることが、子育ての心の負担を軽減することにつながります。どんなに疲れても、明るい未来がある限り、心は元気でいられると思います。
私もベテランにはなりましたが、まだまだ子育て真っ最中の現役「お母さん」です。いちばん大変だった時期を通り過ぎた今、あの頃の私と同じように子育てに行き詰っている人へ、ぜひ伝えたいと思うのです。
どうか「今
だけを見て行き詰らないでください。今が必ず子どもの明日につながり、それが数年先につながり、そしていつか、その小さな大切な命と肩を並べて冗談を言い合う日がやってくるのです。今の私のように。
今、子育てに行き詰ってしまっている方が、少しでも前向きな気持ちで子育てに取り組めることを心より祈っています。