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夏休みの読書感想文が苦手な子って多いですよね。そして、そんなお子さんにどうやって読書感想文を書かせようかと、頭を抱えていらっしゃるお母さん方も多いのではないでしょうか?

私は子どもの頃、読書感想文を苦手に思ったことは一度もありません。それどころか、他の作文よりも書きやすいと思っていました。子どもながらに、読書感想文を書く「コツ」を得ている感触を持っていました。今となっては時効ですが、実はそのコツを使って本を読まずに書いたこともあります。

自慢になってしまいますが、それでも書けば何らかの賞をいただいていました。我が家の子どもたちにもそのコツで指導すると、彼らもコンクールで入賞するので、そのコツはある程度役に立つのではないかと思っています。

読書感想文が苦手なのは、どのように書けばいいかわからないからです。どのように書けばいいかさえわかると、ペンはすらすら進むものです。ぜひ、私の「コツ」をお子さんに伝えてみてください。あっという間に苦手な読書感想文を書き終え、楽しい夏休みを送ることができるはずです!

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「読書感想文」は本の感想の書くのではない!

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そもそも、「読書感想文」が何であるかを正しく理解していない子どもが多いと思います。私は、この「読書感想文」という呼び方が不適切なのではないかと思っています。なぜなら、読書感想文は、本の感想を書くのではないからです。

本を読んだ感想を書くのであれば、おそらく原稿用紙を1枚埋めることも難しいでしょう。面白かった、怖かった、不思議な話だった、など一言で終わってしまうのが落ちです。

では、読書感想文には何を書くのでしょうか。読書感想文には、あらすじも感想もいりません。それは本の紹介です。読書感想文に書くべきことは、あなたの「考え」です。本を読んであなたが考えたことを書くのが、読書感想文です。

【手順1】テーマを見つける

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「考えを書く」と言われてもまだ難しいと思われるでしょうか。

「人間は考える葦である」とも言われるように、私たちはどんな時でも思考を働かせています。特に、読書は集中して思考に刺激を与えてくれます。それらの刺激に対して感情や思考がいちばん反応した部分が、読書感想文を書くネタにしやすいと私は考えます。つまり、読書感想文を書く上でのテーマ、キーワードとなります。

感情や思考が反応する部分は、読む人によって違います。なぜなら、私たちはみなそれぞれ違う考えを持っているからです。その考えは、その人の持つバックグランドや経験に基づいています。

これこそが、読書感想文に書いてほしい題材と言えるのです。その本が一体あなたに何を教えたか。その話から何に気付き、何を学んだか。どのように気持ちや考えが変わったか。それが読書の醍醐味でもあり、読書感想文に書くべきことなのです。

【手順2】ネタ探しで自己分析

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テーマを決めたら、今度はそのテーマで自分自身を見つめていきます。その本があなたにどのように影響したかを分析する、ということです。

この作業は頭の中だけではできないので、紙に書き出していきます。真っ白い紙を用意し、中央に選んだテーマを書きます。そのテーマについていろいろと考えたこと、思い出したことなどを思いつくままどんどん周りに書き出していきます。

人の思考は、見聞きしたことや実際の体験とリンクしていますので、それを紙に書き出すことで、頭の中を整理しやすくします。この作業を難しく感じる場合は、以下の手順にそって考えてみてください。

<①本の内容に沿ってテーマについて考える>青色
・共感できるか、できないか。なぜ?
・もしわたしが○○だったら?なぜそう思う?

<②①のように考える裏付け、自分自身のこと>黄色
・見たこと、聞いたこと、調べたこと
・経験や体験

<③読んで考えた後の気付きや学び>赤色
・発見したこと、気づいたこと
・これからどうすべきか

中央に書いたテーマの周りに思いつくままに書き出した場合は、上記の①②③の内容があるか確認してください。色別に囲むとわかりやすくなります。

【手順3】構成を考える

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書き出したアイデアから作文に取り上げるものを取捨選択します。この時に、【手順2】で紹介した①②③の全てがあるようにし、最低3つは選びます。これらが作文の骨組みとなります。

この骨組みを書く順番に並べていきます。それぞれカードにし、前後入れ替えながら考えてみましょう。「起承転結」という流れがいちばんスムーズですが、それにこだわらず、誰かに話すことをイメージして順序を考えると、より生き生きとした気持ちの伝わる文になります。これが作文の構成となります。

例えば「ももたろう」の読書感想文なら?

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説明だけでは分かりづらいでしょうから、「ももたろう」のお話で例を挙げてみます。

<①テーマを見つける>…いちばん感銘を受けたところ
例1:桃太郎の正義感や勇気、リーダーシップ
例2:お供した動物たちの忠誠心や友情
例3:悪さをした鬼の気持ちや改心

その話の心を打たれる場面は読み手の心情やその時の状況によって違ってきます。いつも主人公の行動だけに目が行くとも限りません。

<②ネタ探しで自己分析>
選んだテーマに沿って

①共感できるか、もし私だったら…
②①のように思った裏付けとなる経験や体験
③それらからの気付きや学び

の順で例を挙げてみます。

<例1:桃太郎の正義感や勇気、リーダーシップの場合>
①共感…すごいと思う、私だったら勇気がないかも。
②裏付け…クラスの中でいじめられている子がいることに気付いているのに見てみぬふりをしている。
③気付き…勇気を出して立ち上がるべき。きっと共感してくれる仲間もいるだろう。

<例2:お供した動物たちの忠誠心や友情の場合>
①共感…友情が人を強くする。桃太郎は仲間に支えられたと思う
②裏付け…学校で文化祭のリーダーになった時に、うまくリーダーシップをとれなかった自分を、友達が支えてくれたことで成功させられた。
③気付き…人はみな支え合っている。感謝を忘れないようにしたい。

<例3:悪さをした鬼の気持ちや改心の場合>
①共感…鬼はこれを機に反省したに違いない
②裏付け…体育委員だった私は、運動会のクラス対抗リレーで勝ちたいという強い思いに、つい自分勝手な練習日程を組んでしまい、クラスから反感をかってしまい、学級会で話し合うことになった。悲しかったが自分の間違いを認め反省した。
③気付き…誰でも間違うことはある。しかしそこから学ぶことができる。自分の中の鬼の部分に気付かせてくれる友達は貴重だと気づいた。

このように、見る角度によって、作文の展開はどのようにも広げていくことができます。自分を大きく変えた体験、気持ちが変化したことなどを盛り込むことで、より自分の考えが伝えやすくなります。

このように考えていくと、ペンが進まないどころか、規定枚数をオーバーするほどの勢いで書くようになります。信じられないかもしれませんが、本当です。

読書感想文は自己分析の手段、大きく成長できます

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さあ、本の感想を書く、という考えを捨て、本がもたらしてくれる自分への影響を掘り下げて考えていきましょう。読書感想文を書くことは、自分自身を見つめる絶好の機会となります。

お子さんのペンが止まるような時は、「その時、どう思ったの?」「なぜそう思ったの?」「どうしたら良かったと思う?」など、思考が停止しないよう誘導してあげてください。

本を読むことが学力の向上につながることは周知の事実ですが、読んだことを吟味し、自己の体験と重ね合わせながら自分の中に取り込むことで、人間性を高めてくれると言っても過言ではないでしょう。読書感想文がお子さんにとって楽しい作業になるよう応援しています。